散歩道



落ち葉を踏んで
黄色のじゅうたん
ポプラも銀杏もふるえてる
私の後ろを すました猫が
軽やかな足どりで
ついてくる

 シャムはやたら つんと横向いて
 私は少しうつむき加減に
 すれ違う坂道は
 黄色のじゅうたん

風邪ひきが多いのかもしれない
医者見習いの犬が
皮鞄をひとつさげて
背中を丸めて寒そうに
急ぎ足で私を追い越していく小道は
黄色のじゅうたん

 まつぼっくりひとつ
 私の後ろのペルシアが拾い上げる
 いつの間に覚えたのか
 放り上げては 受けとめて
 得意そうに私の方へ にっこり笑ってみせる
 私ととぼけたペルシアの
 小春日和の散歩道は
 秋色の じゅうたん



1984


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