距離(ディスタンス)
今夜も雨。
――新聞の天気予報欄には何も書いていなかった。
又、あてはずれ。あの人にあえない。
追いかけて、追いかけて、追いかけながら、
一体自分は何を追いかけているのだろうとふと思った。
まるで、風見鶏。遠すぎた?いや、近すぎたんだ。
近すぎた?いや、遠すぎたんだ。
あの人との距離は、何処までいっても平行線。
雨音だけが残る。寂しすぎるから、風見鶏。
ねえ、側に居て。悲しすぎる。
むなしい時間のかさね塗り――私のスケッチブック。
だから、風見鶏。雨音と一緒に遠ざかる。
いかないで。去らないで。いつだって、そうだった。
気がつかないままに、いってしまう人。
もういつまで待っても来ないと知っているのに――まるで、風見鶏。
まちびとは――待って待って待っても――遠ざかるだけ。
離れすぎた平行線。あの人の影がゆらいで、倖せの影がみえかくれ。
きまぐれに東西南北をゆらぐ風見鶏。
そして、今夜も独り。
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