夕涼み 風が凪ぐのを 待つふりで 団扇をゆらゆら 泳がせ乍ら 風鈴の音に 耳を澄ませ いつしか あなたを 待っている 夕日が落とす 長い長い影法師 何処迄追っても 届かない 告げない想いと すれ違う時間の中で いつものように また 独法師(ひとりぼっち) 離れていく 離れていく このまま 流されて 流されて もう 戻れない処まで 風が凪いで 風鈴の音が消えて 表で水を打つ音だけが聞こえる 風を忘れて 真っ白になって あなたが好きだと 言えるものなら
1986
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