十二月のすすき



いつも電車で通る土手で
すすきが手を振っています
灰色の重い空の向こうに ほんの少しの夕焼け
見てるような 見てないような

秋をくぐりぬけて
冷たい風にさらされて
クリスマスセールのちらしが
ポケットに紛れこむようになっても

 私がひとりの時だけ
 そうやって 優しいんだね
 傷つけることも 傷つけられることもいやだと
 逃げようとする私には
 窓越しに笑ってくれる 君たちの強さが
 とってもとってもうらやましくて

十二月の少し暖かい日
すすきが手を振っています
 強くなりたい―――
今日もいつもどおりの一日が終わります



1990


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