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せんたくものからゆげがでる



広げたばかりの洗濯物から
待ちかねたように
真新しい湯気が立ち上がる
ゆらりゆらりとたなびく白は
ゆるみはじめた冷気のなかを
心地よいくらいに潔く
空へと昇っていく
遅く目覚めた太陽が染める赤は
どの季節にも増して美しい
潔く そして未練がましく
生きていく
連なる時間の畝に
どんな足跡をつけても
どんなことばを選ぼうと
自由であることに畏れを抱きながら
洗濯物の真新しい湯気が
次々と立ち上るのを
黙ってみていた 一月の朝