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恋歌
咲き初めた桜を見上げ
出会った季節を
胸の深いところにしまった
(あいたい)
いつのまにか
あのひとは
わたしのこころの桜となって
ふくふくとつぼみをほころばせている
一年、また一年と
本物の桜が咲くごとに
あのひとから遠ざかる
それに背くように 日ごとつのる思い
密やかに 密やかに
降り積もる花びら
もう二度と会えなくても
生きてあるかぎり
ここに咲いた桜を
ひとりそっと愛でる
水をやり手をかけそばに置いて
それが育つ思いの証
忘れられぬ あのひとへの