言の葉 ことばを持たないものたちはみんなやさしい ことばをあやつらず 何も偽らず ただ自分を生きる 誰をも何をも傷つけず ただそこに在る ことばを持たないことは 武器を持たないこと 手を切られるより 身を切られるより 心を切られることが いちばん痛いから なお愛おしく 憧れる 音も 空も 風も 星も 木も 草花も 小鳥も 魚たちも それでも ことばを持たないものたちのやさしさを 誰かに伝えるために、ことばがあり 目には見えない 形も影もない 心の痛みを伝えるために、ことばがある そう思う時 私はおそるおそる ためいきのような やさしいことばを探す 誰をも何をも傷つけることのない 染みとおるような あたたかくやさしいことば 言の葉 ひらひら 音のように やさしく心をなでていく、 そんな葉っぱを手に受けたくて |