<< Back



石割桜



初夏の蒸し暑い日差しの中で
まぶしい緑が呼吸していた
あの日
いつかこの樹に咲く花を見たいと思った
今日のようにあなたのそばで
手をつないで
同じ目になって

流れる時間 絡む波々
遠ざかり また寄りそい
そしてまた遠ざかり
石割桜は
時を忘れず花をつけ
私たちを呼んだだろうか

草いきれに満ちた河川敷で
靴をぬらした
初蝉の声がかぼそく強く
石割桜の中から聞こえた

あの日
いつかこの樹に咲く花を見ようと誓った
今日のようにあなたのそばで
手をつないで
同じ目になって