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芋を煮てゐた
彼女が嫁ぐその前夜
夜更けてひとり 芋を煮る
前掛けもせず ただ無心に
ことりことりと 芋を煮る
彼女の非日常と
私の日常
時間が背中合わせてかくれんぼ
ただ ただ
煮えていく芋と一緒に
私も煮崩れていった
(熱湯でのさばったこんぶの下で。)
アルミ箔のおとしぶた
どうしようもない茶色のつぶつぶ
芋を煮てゐた
心失くして芋を煮てゐた
彼女が嫁ぐ その前夜