<< Back



グレープフルーツの空



たそがれ色は刻々と移りゆく
グレープフルーツの夕暮れのうちに
その酸っぱさを口の端に含んだら
わたしいっぱいに広がり綾なすグレイの空は
鮮やかな山吹色に染めあげられて
答えも出口もない空をさまよい
閉じられたままのこの口から喉もとへ
グレープフルーツの夕暮れが広がり
穏やかに平和にたおやかに
たそがれていく
そんな夢を見ながら
振り返り振り返り
グレープフルーツの懐の深さを知る
山吹色のその力は
わたしの空を覆う強さに満ちて
やがて
グレープフルーツの月のかけらが
空いちめんに降り注ぐ
心のやわらかい場所を求め
しみるように
深く
深く

さあ目を閉じて深呼吸
グレープフルーツの夕暮れが消えぬ間に
わたしの夢が消えぬ間に