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六メートルの空



電線にさえぎられながら
そこにあるのは わずか六メートルの空
退化していく心に
水を遣るすべが見つからず
伝えるべき相手も見つからず
息がつまりそうに考えあぐね
仰いだら この空があった

線と間
その五線譜のすきまに
梅雨の雲間から落ちた宵の明星
薄雲に隠れ また現れ
ゆらゆらと
しかし 確かな光で季節を奏で

当たり前の全天をのぞみ気付かなかった
ただ六メートルでもそこに空があり
身を投げ出せること

六メートルの空さえ見つけられなかった日々
目も耳も心も 何かでいっぱいになっていた
やっと見つけた空の庭で
湿った夕風が夜風になるまで
静かに 季節のうたに耳を傾けている