別れゆく場所 4/18 テーブルの上にふと目をやると、 大きい坊ちゃんがバイト先の仲間からもらったお菓子が置かれていた。 「○○○○ 今までありがとう!」 マジックで箱に書かれた坊ちゃんの呼び名とその言葉に、胸がぎゅっと痛んだ。 ふたつのアルバイト先、それぞれのお別れの日に、 たくさんの温かい餞をもらっていた坊ちゃん。 上司、パートさん、仲間、生徒たち、 皆に別れを惜しまれ、涙して帰ってきた坊ちゃん。 「あーいつまでも子どもではおられへんねんなあ、大人にならなあかんねんなあ」 そのことばに、大人になれなかった自分を重ねて、 坊ちゃんはもうわたしを超えていくんだな、と、ふと思う。 その彼のたゆみない努力と同時に、こんなにも大切にしてもらったこと、 周囲に愛されたことに、ただ感謝しかない。 別れはせつないけれど、前へ。 道はまだまだ長く、遠くへ、続いている。 ぎゅうぎゅう 4/7 昨年、小さい坊ちゃんが携帯で送ってきた、 「花びらがぎゅうぎゅうで、1ミリも動かない。」川を実際に見てみたくて、 坊ちゃんからの開花情報を頼りに、えいっと日帰りしてきました。
昼間に見た、別の川に流れる花筏も美しかったのですが、 夕暮れに来た下宿最寄りのこの川は、 花びらが流れもせずつまっていて、目を奪われました。
確かに、ぎゅうぎゅう。そして、1ミリも動かない。 こんなふうに、風紋(下の川の流れ?)ができて、留まっています。 ピンクのじゅうたんのようで、ふと足を下ろしたくなりますが、 もちろん、この下は水です! 「降りたらあかんで!」(by 小さい坊 笑)
わずかな光が空から降りそそぎ、 花びらのじゅうたんの上に桜の影を落としています。 なんともいえない、不思議な、美しい光景でした。 桜降り積む 4/6 ばたばたと過ごしているあいだに三寒四温をくり返し、 気づけば清明を過ぎ、すっかり春。 見に出かけるひまもないまま、桜は満開の時を迎え、 ようやく訪れた遊歩道は、降り積もる花びらでうっすらと桜色。 この春、大きい坊ちゃんは、 無事に大学を卒業し、就職しました。 彼らしくこつこつと学び、学生生活を楽しんで、 充実した日々を過ごしてくれたことが、何よりでした。 高校時代までのように外出が定刻となり、 小さい坊もすでにうちにおらず。 肩透かしをくらったような、突然のひとり時間。 驚くほど家事がはかどる一方で、 毎年恒例のお花見も、もうひとりなんだなあと、 妙な感慨に浸っています。 長いようで、過ぎてしまえばあっという間だった、子どもたちとの時間。 わたしの人生のなかで、いちばん長く、たいせつだった時間。 たくさんの記憶のかけらが、それまでのわたしを癒し、 これからのわたしを支えてくれるでしょう。 ひとひらひとひら、降りしきる花びらを愛おしむように。
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