贖罪 欲しかったのは たったひとつの 許すことば 生きていることを 許すことば 「愛しているよ」 それさえあれば生きていけたのに それさえあれば。 求めることすら 許されないまま ひしゃげたこころの隅が今夜も痛む 眠る小さな背中にすがり こどもになって泣いている夜更け 母というには小さすぎるこの手を握り返してくる それよりも小さなてのひら 「愛しているよ」 「愛しているよ」 他には何もできないけれど てのひらを握りしめ まなじりの涙を拭い 抱きしめることだけが 私のたったひとつの贖罪の術 私が許されたい場所は もう 引き返すには 遠すぎて。 |