夏の影 その上の空だけ ぽっかりと梅雨明けした遊園地 ブルーグレイの広場にぽっつり落ちた 小さなまるい私の上に ゆっくりと大きな影がやってきた それは振り子のように規則正しく 加速しながら私を覆い 減速しながら私を去る 季節を忘れた人たちを乗せ 空を揺れつづける船 見えなければいい 隠しておけばいい 何にも悟られぬように 留めた思い それでも胸の高鳴りを押さえることはできず 大きな夏の影に呑まれそうになる 落ちてくる影に引きずられていく思い さあ今度は空まで引きあげて 夏の影に潜んで 生きつづける思いを投げ上げたい あなたまで |