:: 長崎旅日記  〜 1日目 〜 ::



「片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず、
・・・・・
そゞろ神の物につきて心をくるはせ、
道祖神のまねきにあひて取もの手につかず、」
・・・・・



話題にのったわけではないのですが、
夏の終わり、写経のようなことをしていました。
『奥の細道』は、学生時代に扱ったので、思い入れもあり、、、
そんなことから、私たち家族も、
道祖神の招きにあったのかもしれません。
とにかく、旅行なんて想像だにできない、夏の状況でした。
やっと休みが、それも二日続けてとれそうだというので、
体を養生するか、旅に出るか。。。
休日も、本当に取れるかどうかは、その日になるまで分からない…
そんな不安定な状況、思案の末に、
オットからGOサインが出たのは、出発の日の午後でした。


9月1日、当然、始業式当日。
子どもたちが数時間でも出ていってくれたのを幸いに、
行くか行かぬか、まだ分からぬ旅支度を始めたわたし。
行き先はオットの強い希望で、どうしても長崎
距離があることと日にちがないこと、子ども連れであること、
行程も手段も宿泊も決めずにいたこと、など、不安要素はいっぱい。
それでもまあ、なんとかなるでしょーという思いもあり、
その日、何時になるか分からない、オットの帰りと連絡を待ちつづけました。

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昼ごろには帰宅できるかも…といいながら、
オットーが帰ったのは午後4時半。
手段は大きい坊ちゃんの希望もあり、「ベッドのある電車」とほぼ決まり。
サイバーステーションで事前に空きの確認はしておきました。
すでにまとめてある荷物を積んで、午後5時に車で出発!
名古屋駅から、6時45分の新幹線に乗り、京都に出ます。
京都20時2分発、長崎到着、翌8時54分。
無謀なわたしたちの旅の始まりです…。


あかつき号は、佐賀県の鳥栖まで、熊本行特急「なは」と併結しています。
寝台特急は、オット以外、皆初めて。
空いていたのが幸いでした。
京都を出て、新大阪、大阪、と、在来線の線路をひた走ります…。

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寝台特急、乗ってまず驚いたのが、クーラーの寒いこと!
これは毛布なしでは、間違いなくカゼっぴき…とあせる。
入念に坊たちに布団をきせて寝かせて…
普通の座席の1.5倍くらいの幅のベッドに、
小さい坊と寝ているわたしは、はみだしてつらすぎる〜。
・・・・・
それでもうとうとして深夜、今度は暑くて目が覚めた。
カーテンを開けて、先ほどまでがんがんにきいていたクーラーが
ほとんどきいていないことを確認。
もう、あまりに極端で、笑いがこみあげてまいりました。。。

この行きの電車のなかで、
いろいろな過去のできごとを思い出していました。
もう記憶の彼方、完全に忘れ去っていたことが唐突によみがえり、
その記憶の中のモノの、質感までリアルに思い出したり…
ふだんはすっかり忘れている、
二十代のあるひとときをともに過ごしたひとたちの、
その頃のつながりやなんかを思い出したり…
今はどうしているのか分からないひとたち。
みんな今も、夢を追って生きているかしら。

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                          (2006.9.1)


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