<< 風待ち日記TOP
<< Home




誕生日のおくりもの  11/29

大きい坊ちゃん、誕生日の前日。
突然、「京都に紅葉を撮りにいきたい」と言い出して、
驚いたけれど、一緒に行くことにしました。
この先、いつできるか分からないことは、
できる今やっておこうと、そんな気持ちにもなって…


目指したお寺は予約必要で入れず、その近くの、
お庭で有名なお寺に移動して、紅葉を楽しみました。
冬の傾いた日差しが逆光になって、透ける紅葉はとても美しく、
坊ちゃんもわたしも、散策しながら夢中で撮影。
マスクを外せないので、季節の空気と場所のにおいをかげないのが、
わたしとしては唯一、最も残念なことでした。


お寺を満喫して、夕暮れの冷たい風の中、ぶらぶらと最寄り駅まで歩く。
振り返れば、残照に輝く東山と、いちょうの木のてっぺんに、ヒヨドリが2羽。


近くに有名な書店があることを知っていたので、久しぶりに訪ねました。
本だけでなく雑貨や文具などが、テーマごとに分かれて並べられている、
趣味人にはたまらないお店です。
「これ持ってる」「あー昔読んだ」「これ最近出てるな」など、
背表紙をながめているだけでも楽しくて、店内をうろうろ。
ある写真家さんの絵はがきを見つけ、それを教えてくれた方に出そうと1枚購入。
お店を出る頃にはすっかり日が暮れて、
ライトアップされたお店の明かりがきらめいて、どこか別世界のようでした。

その後、今日が1週間でいちばん忙しい小さい坊ちゃんに連絡して、
晩ごはんで合流することに。
会える時間まで、紅葉のライトアップと夜間拝観をしているお寺に移動。
ここには昨年、わたしと小さい坊は来たのですが、
大きい坊ちゃんは今回が初めてでした。
話だけで「ふーん」と聞き流していた彼は、実際こんなに美しいとは思わず、
入口からのながめにちょっと興奮ぎみで、「ここすごいわ!」と感激していました。


池の黒い水面に、鏡のように対称に映りこむ紅葉の風景は圧巻です。
立ち止まり禁止になっている見どころの場所を過ぎてから、
やっぱり立ち止まって、ただただ、見とれていました。

帰りみち。
目の前に黒々と東山が立ちはだかる、真っ暗なバス停でバスを待ちながら、
見上げた空には、なんとたくさんの星が輝いていたことでしょう。
木星、土星がまぶしくきらめき、西に沈みゆく夏の大三角、
天頂近くにカシオペア座、東の空に上りくるオリオン座とぎょしゃ座。
寒さもすっかり忘れて、夢中で探しているうちに、バスがやってきたのでした。

そして、自動車学校帰りの小さい坊とようやく合流。
下宿のそばのカレーうどんやさんに入って、3人で晩ごはんを食べました。
「ごちです!」(byふたり 笑)
大きい坊は泊まるつもりで来ていたのですが、
帰るつもりだったわたしも引きとめられて、結局泊まりに。
3人が限界ですが、こたつ布団も使って、なんとか寝られます。
日付が変わって生まれた時刻になり、3人で「おめでとう」ができました。
急に行ったのに、小さい坊ちゃん、泊めてくれてありがとう。
(会えたので小さい坊ちゃんからのプレゼントは、直接もらっていました。笑)
翌朝は洗濯・掃除・ごみ出しをして(笑)昼頃帰宅。
大きい坊ちゃんは大満足だったようで、いい誕生日プレゼントになったなと、
わたしも嬉しくなりました。


帰宅後、休む間もなく(!)急いで焼いたシフォンケーキ。
無事にバースデーケーキ完成。
Happy Birthday,坊ちゃん!



収穫感謝祭  11/27

畑で、2年ぶりに収穫祭が催され、出かけてきました。
このNPOに参加している人たち全員が対象で、
スタッフさんたちが収穫したおいもや野菜を使って、
ごちそうが振舞われるのです。
(昨年10月の日記に、4年前の収穫祭の写真があります)


いつもの具だくさん豚汁に焼きいも、玄米もち、干し柿。
さつまいもごはんに、手づくりのジュースやハーブティー。
晴れたり曇ったり、急に風が吹いて雨がぱらぱらと降ったり、
例年より3週間ほど遅く、少し寒かったけれど、
寒い寒いと言いながら熱いものを食べて、
焚火に当たるのもまた一興、でした。
そして今年は、初めての抽選会も!
景品はお米やみかんやバターナッツかぼちゃ、
お正月用のリースの材料などなど。
なかでも面白かったのは、「里芋収穫権」。(笑)
スタッフさんが育てている里芋畑で、ひと株掘って持ち帰れるのだそうです。
わたしは、リースの材料が当たりました!(にこ)


去年の年末年始兼用リース

いただいたご案内メールに、
目的:
野菜やお米作りでがんばった自分に感謝、
はぐくんでくれた太陽や雨など自然に感謝、
収穫できたことに感謝、
そして仲間に感謝。
と書かれていて、心を打たれました。
そのとおりだなあと、しみじみ思います。
収穫するまでのすべてが恵みで、
実りを受け取ることもまた、恵み。
そう思えば、虫やモグラやねずみの悪行?もまた、
人間にとって不利益なだけで、自然の摂理に叶った恵みでもあるのでしょう。
実りは、みんなで分かちあうもの。
そんなことを思う、畑5年目の秋です。



大学祭イベント  11/15

10月下旬になり、小さい坊ちゃんの大学もようやく、
対面授業が始まりました。
修学旅行生が戻ってきたおかげで、アルバイトも入りはじめ、
教習所にも今月から入学して、勉強中。(↓参照)

今年の春から、2つのサークルに参加した小さい坊ちゃん、
当初はオンラインオンリーだった活動も、
10/15には、お寺の手作り市に出展するお手伝いをし、
来週はもうひとつのサークルの、学祭イベントに出演予定です。
そのサークルとは…なんと落語研究会=落研。(笑)
落語のみならず、お笑いならなんでもという懐の広さらしく、
大学祭(オンライン)では、大喜利や落語の配信ライブがあるそうで、
再生回数を上げる?ために、家族にも宣伝していました。
1週間前になってようやく情報解禁になり、
SNSの日時連絡を見て、また、坊ちゃん作のパロディポスターに笑って、
楽しみに待っているところです。
実はこの週末はわたし、急遽、宮田大さんのリサイタルに行くんだけど…。(笑)
ライブ配信を、アーカイブしておいてくれるといいな。

入学式もなく、活動制限ばかりだった1年半を過ごし、
一時は投げやりになっていた坊ちゃんが、
サークルでできた友達と楽しく過ごしているらしいのを聞くにつけ、
ひとり暮らしまる1年、
やっと少し、安心して見ていられるようになったと、
ほっと胸をなでおろしているわたしです。



「よく見かける風景です。」  11/4

ある日、小さい坊ちゃんから、
メッセージと共に1枚の写真が送られてきました。


「どこにでもある、よく見かける風景です。」

??
…最近、下宿最寄りの教習所に通いはじめた坊ちゃんの、
それは、教習テキストのようでした。
その中の、扉のページを撮ったようなんだけど…。
確かに、よくある風景。
・・・・・
この右側で、しょっちゅう警察がはってるよな。
パトカーの時も、白バイの時も、2台連なって。
この信号のない歩道を、車がちゃんと止まるか、隠れて見張ってる。
で、この左側は、不動産屋があって…。
その前は、一通の道路になってるよな。
んで、その手前が地下鉄の入口で…
・・・って、え?
なんでわたし、この周辺が想像できるの?
・・・・・

ほどなくして、2枚目の写真が送られてきました。


「よく見かける風景です。」

…この自転車の子の制服…よく見かけるな。
この信号…最近、右折の矢印、ついたよな。
前は2台曲がるのが精一杯の、短い交差点で、通るのいややった。
信号上の案内表示を拡大したら…「スポーツセンター北」。
ここわたって、すぐ左に曲がったら、スポーツセンターやな。
・・・え?あれ?
この写真の外側の事情まで、なんで分かるん?わたし。

「よく見かける風景です。」

よく見かけるっていうか、しょっちゅう、見てるような…。
明らかに、知ってるような…。

!!!
「ええーーーっ」
その後、家族で大騒ぎ。
「これ…間違いなく、駅前(最寄り駅です)やん!」
「こっちは○○○○(←スーパー名)の前の交差点やろ」
「しかも、古い!はじめ気づかなかった」
「店全然違う!」
「眼科の看板もデザイン違う!」
「スーパーかって、こんな古かったら、まだ○○○○じゃなくて…」
「…言うてみ?」
「△△△やで!」
「正解!」

「な、なんで、こんな全国版の教本の見本が、
 ピンポイントでうちの最寄り駅前なん〜?!」
「ローカルすぎる…」
「しかも20年以上前なのがなんとなく分かる…」
ナゾがナゾを呼びます。
大うけしながら、調べたところ。。
とある全国紙の特集記事が、ナゾを解いてくれたのです。

"全国の教習所で、70%のシェアを占める教本がある。
 作っているのは、名古屋市八事地区にある、
 全国で最初にできた、トヨタ系の自動車学校。
 (大きい坊は通っていたから、知っていたらしい。笑)
 「一生無事故のドライバーを育てたい」との思いのもとに、
 運営者が、トヨタ色を抑えつつ制作したもの。"
そうかー。カギは、トヨタだったか。。
確かに愛知にはトヨタのお膝元と言われる豊田市があり、
道路も広く、車の所有台数も多いと感じる。
それにしても、標識見本の撮影が、我が家の近所とは…。

「…ということは、じゅんの教本にも載ってるんか!」
坊ちゃん、自分の机を探してごそごそと…。


見つかりました。(笑)
それにしても、3年も前にこの地で大きい坊ちゃんが使っていたというのに、
その時にはまったく気づかなかったという…。
こんなに付箋を貼って勉強したテキストだったのにね。
まさか近所の道路が見本になっているなんて、思いもしなかったね。
「どこにでもある、よく見かける風景」だもんね。


場所は違えど、奇しくも同じ教本で勉強することが判明した、
仲良し兄弟です。(笑)



駅ピアノで  11/1

昨日のリサイタルの余韻もあってか、
さらには先月のマツカドピアノの興奮も残ってか…
3月に一度見にきた駅ピアノを、
ついに弾いてみることに。

おそるおそるのぞきにいくと、
平日、そして駅ビル7階のオープンスペースということもあり、
人影はまばらでした。
順番を待つスペースが設けられていましたが、並んでいる人もいません。
けれどなぜか途切れることはなく、誰かがピアノを弾いている。
そして柱の陰にあるベンチに、ぱらぱらと座っている人たちがいて、
演奏が終わると拍手をしているのでした。

クラシック曲を弾いていた男性が演奏を終え、ピアノを去ると、
弾く人が他にいないかようすを見ながら、そろそろと、
観客としてベンチに座っていた方が立ち上がり、進み出てきました。
混みあっていないからか、どうやら今は、そういうふうに進行しているようです。

そんな遠慮がちな「弾く」「聴く」の交代を幾度か見た後、
進み出る人が途切れたタイミングで、思いきってピアノの前へ。
ミネさんの短い曲を、弾いてみました。(楽譜あり)
人が少ないからか、意外に緊張なく、集中して弾けたので、
ちょっとほっとして、味を占めました。(笑)
とりあえず、いったん離れて次の方に交代して、様子見。
さっきのクラシックの男性が再び弾いたり、
どこからともなくやってきた若い男の子が弾いたり、
数回の演奏を観覧したのち、再びピアノへ。
昔よく弾いた、好きだった曲を弾いてみました。
久しぶりだったので、ミスタッチはもちろん、指も動きづらかったけれど、
弾いているうちに懐かしくなり、さっきより緊張しながらも一生懸命弾きました。

弾き終えたら、見てくださっていた方々が拍手してくださって、
とてもうれしかった。
長いこと弾いていなかったけれど、また家で練習しよう…と思っていたら、
ただ観客として聴いておられたご年配の女性が、去り際に、
「ありがとうございました」とわたしに会釈してくださったのです。

拍手をいただいたうえ、ていねいにお礼を言ってもらえるなんて、
50年近くピアノに触れてきて、初めての経験でした。
わたしの演奏が、上手下手ではなく、
誰かの心に触れたのだ、と初めて感じられて、胸が震えました。
ああ、こんなふうに、音楽を奏でたい。
そう強く思って、今までひとりで完結していた音楽を、
外に向かって奏でることの意味を、考えたのでした。

その後、ベンチにおられた別のご婦人が進み出て、
わたしの知らない、物悲しく、美しい曲を演奏されました。
タブレットを譜面台に置いておられたのも印象的だったので、
演奏後に思いきって話しかけて、いろいろ質問しました。
その曲は、あるドラマの劇中歌で、
ご自分で楽譜をおこしたのだということや、
タブレットに写真として楽譜を入れておくと、
何冊も持ち歩かなくてすむ、ということなどを、
ていねいに教えてくださいました。
そして、
「話しかけてもらってよかった、
 自分の好きな曲をいいなと思ってもらえて、
 その話ができて、とてもうれしかったです」と。
話しかけた時はなんとなく、互いに遠慮と距離が感じられたのに、
話をしているうちに少しずつ盛りあがり、楽しいひとときでした。
ああ…こんなふうに、音楽を分かち合いたいのだと、
今まで見たことのなかった新しい扉が現れ、
突如として開いたような、そんな感覚に陥りました。
ひとりで、自分の心に向かって弾く音楽もいいけれど、
誰かと分かち合い、交わす音楽の感動は、共有されたぶんだけ、
倍増していくのだ、と、その喜びの大きさを、素人のわたしは初めて知ったのです。

まちかどピアノ…万歳!