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桜坂へ  3/29

空が霞んでるなあ…とのんきなことを思いながら、
出先から帰る途中で思いたって、あの桜坂へ向かいました。


もう花は盛りを過ぎて、はらはらと舞い散る季節。
今年の季節の進みの速さに驚きながら、
桜のトンネルの中をゆっくり下ってゆく。
一年に一度の、「桜散る」の世界をかみしめながら。



Little World in Kitchen  3/27

小さい坊ちゃんがふと、台所にやってきて…
「なに?…これ…森やん。」


言われてみれば…。(笑)
最後のブロッコリーにルッコラ、水揚げ中。
キッチンに突然現れた、ちいさな森。



再会  3/27

大事な、学生時代の友人夫妻に再会した。
そろって会うのは実にわたしの結婚式以来、22年と10ヶ月ぶり。
わたしの中では二十代のまま、彼らの時が止まっていた。
お互い同じ時期に子育て中、しかも携帯を持たない彼らとの連絡は、
郵趣ファンとして細々と続いていた、はがきのやり取りだけが頼りだった。
それでもこうして再び、会えたこと。
もうお子さん方皆大きくなって、夫婦ふたりで出かけられることが、
奇跡のように思える。
たまたま、スポーツ観戦でこの近くを訪れる機会ができて、実現したのだった。

わたしがぼろぼろだった頃、ふたりの存在が心を支えていてくれた。
あの頃と変わらぬやり取りが懐かしく可笑しく、気分を高揚させる。
今の家族の話をし、懐かしい人々の話をし、経た時を振り返る。
そしてわたしを変わらず旧姓で呼んでくれるふたりに、心から感謝した。
挑戦なくただ時間を積みあげてしまった自分を苛んでいたけれど、
今の自分につながるご縁を再確認した思いがした。

「じゃあAさん、次は○○で!」
ふたりのご長男と小さい坊ちゃんは、同じ大学の学生。
この社会が落ち着いたら、いつか、その町で会おう。
ホテルの前で手を振り、わたしは地下鉄の駅を目指す。



雨の糸  3/22

沢の音と木々のざわめき、鳥の声だけの道をひたすら下り、
選択のない道行きを、山際にあるバス終点の神社まで。
わずかにのぞいていた青空は次第に雲に覆われ、
神社に着く頃にはばらばらと雨が降りだした。
折り返して去ってゆくバスを心細く見送って、
長い階段の下、まだ案内板しか見えない神社を目指してゆく。

降ったりやんだりの雨のなか、人影まばらな神社の境内を周り、
ここがどこなのかを初めて認識し、驚愕する。
小学生の頃、遠足で来た場所から数キロ…
逆から進んできたせいで、地図も反対側しか目にしていなかった。
まだまだ距離はあるけれど、この山の向こうに、わたしの生まれた町がある。

受付に飾られた花びんの、真っ白な花のついた枝に目を奪われ、
座っていた女性に、「これは、ドウダンツツジですか?」と問うと、
「これは、あせび、です。馬が酔う木、と書いて、あせび、です。」
「これが、馬酔木の花ですか!名前は知っていたけど、初めて見ました。
 こんな時季に咲くんですね。
 私、さっき○○山に上ってきたんですけど、
 展望台付近で似たような花が咲いていて…」
ふとそう付け加えると、その女性が嬉しそうに、
「私もつい数日前に、上りました!ええ、確かに、上の方に咲いていました。
 そうです、あれ、馬酔木の花です。」
山に怯えながら歩を進め、その満開の白い花から飛びだした蜂にも怯えながら、
何という花だろう、と、そのドウダンツツジに似た花に目を留めていたのだった。
そのお答えを、こんなところでもらえるなんて。
嬉しい気持ちを共有したうえ、バス停への近道を案内してくれた女性に、
心から感謝をして、別れた。

くねくねと曲がった抜け道の途中には、
樹齢600年の桜の古木が、ひっそりと、そして堂々と立っていた。
振り返れば、秋には絶景と言われる神社の全景が、
迫る山に抱かれ、寂しく灰色に沈んで見えた。

やがて開かれた国道に出る頃、
山全体に黒い雲がかかり、雨は本降りになった。
土産物屋のシャッターの前で傘もなく、濡れながらカメラを構えて、
ピンク色のつぼみがのぞきはじめた桜に降り注ぐ雨を撮る。
わずかに残った空の光が、雨の糸を映しだす。




春浅し  3/22

長らく訪れる機会をうかがっていた、少し遠い場所に出かけた。
そこには坂道どころでない、本物の登山道が待ち受けていた。
さんざん言語で得ていた情報から分かっていたはずだったのに。
どこか自分の中に入れようとしていなかったのか…
言葉では入ってこなかったものがありすぎて、それを感じすぎて、
自分が何も分かっていなかったことに愕然とした。
それから後は、言葉にならない、様々な感覚と想いが波のように去来して、
ただただ、己を振り返るばかり。

例年にない暖かさで、下界ではすっかり春めいているのに、
ここではにわかにあられが降り、ようやく花が咲こうとしている。
遠く見わたした山々の稜線の重なりよりも、
すぐそばで揺れる木々のざわめきの方が強く大きく、
風のひと吹きで足もとをすくわれそうな気がして、
じっと足もとだけを見つめながら、一歩ずつ山道を下った。
行きも帰りも、誰もいない山道を、ただひとり。
余分なものをくっつけた、情けない自分ひとり。




ちびキャベちゃん  3/16

今年のキャベツ、最後の収穫です。
4つの苗の中でひとつだけ、なかなか育たないものがあり、
かといって枯れもせず、みじみじと少しずつ、マイペースで葉を巻いていました。
遅まきながらのぞきはじめた、きれいな結球に感激!


大きく見えますが、実は…


直径10cmもない、ミニミニキャベツ。
外葉をむいて中の葉だけにしたら、見事に手のひらサイズ!

食べられるかどきどきしながら、むいた外葉を使って、
ロールキャベツを作りました。
新芽を虫に食われたがために、根もとから4株に分かれて育った白菜といい、
規格外もいいところなのがとても面白い。そして、かわいい。
自分で育てる醍醐味です。

4株に分かれた白菜の根もとと、最後に収穫したひと株の、鳥につつかれた葉っぱ!
まだ傷んでいないのが、生々しい。(笑)




セグロセキレイちゃん  3/15

坊ちゃんたちがそろって在宅デーだった午後、
お天気と満開のこぶしの花に誘われて、
3人でごはんを食べにでかけました。
その帰り道。
「あっ」と坊たちが指さした先に…


足もとを、怖いものなしのセグロセキレイが歩いていました。(笑)
近づいても、飛ばない。
でも、ものすごい早足で、遠ざかる。(笑)
わたしは興奮して、持っていた携帯で写真を撮ろうとするのだけれど、
ものすごい早足なので、構える間もなく、撮影範囲からはみ出してゆく…。


小さい坊ちゃんがつかまえた?一枚。
いちばんきれいに撮れていて、かっこよかった。
町なかにいるトリらしい構図です。



奇跡の一日  3/9

小さい坊ちゃんと、とある画家の自宅庭園兼美術館に行きました。


有名な観光地への道沿いにあって、多くの人通りはそちらに流れるため、
午後だったこともあり、中はほぼわたしたちだけの、貸し切り状態。
入口から続く小径をぐるっとまわって、池に沿って四阿と茶室をのぞき、
大作を制作するための中央の大きな建物へと通り抜けていきます。
これらの建物も庭も、すべてその画家自身が設計したものらしく、
そのスケールの大きさに圧倒されながら大画室にそーっと入ると、
2人の男性が、何かを床に並べて、撮影している最中でした。
「あ、今、風が強くて閉めたんで、がら―っと全部開け放していいですよ」
庭に面する大きな窓を開けるように勧めてくれただけでなく、
この庭をどこから見て、どう楽しむか、ということについても、
お仕事を進めつつ、ていねいに説明してくれました。
電気がなかった頃の建築と、今との大きな違い、
太陽の道すじ、雨風の流れと溜まる場所、それら自然の条件を熟知し、
どう利用し、逃すかを考えて建てられた明治以前の建物は、
大雨や大風の被害を受けることがほとんどなかった、という。
「実際ここは、100年以上台風の被害なしです」と胸を張る。
時代の移り変わりによる建築の変化、美術への感覚の変化など、
この人…何者??と思う詳しさで、舌を巻きました。
そしてこの画家は、絵を描くことはむしろ、"余技"だったと…。
「外に出られて、その高さからも池を見てみてください」と言われ、
坊ちゃんとお庭に下りると、きれいな声で鳴く、鮮やかな色の鳥が!
写真に撮ろうと追いかけながら、ふと振り返ると、
画室にはもう誰もいませんでした。
あの人は…学芸員さん?
それとも、説明をしてくれるために現れた天使だったのだろうか…。

鳥はすばしっこくて写真に撮れず、大画室をあとにして、
庭の奥に建っている新しい美術館に向かいました。
こじんまりとした2階建ての建物の、入口までの小径には、
桜や椿など、季節の花木が植えられています。


見上げるような大きな椿の木に、白い花が満開でした。

1階の展示を観て、階段を上がると…
一人のお客さんに説明をしている、それは、さっきの方でした。(笑)
そのお客さんが出ていかれた後、再びわたしたちに、
絵や顔料などの展示物から、それを照らすライトの詳細に至るまで、
熱く解説をしてくれました。
思わずこちらも引きこまれ、25年前に一度観て以来、
もう一度観たいと願っているが観られずにいる、
あるお寺の襖絵について、問う。
そうしたら…
なぜ今それが展示されていないか、それがいつ頃からか、
そしてその(目の前にない)襖絵について、4つの絵の意味を、
基にある禅の思想からすべて、見事に解説してくださったのです!
・・・絶句・・・
そりゃあ観られないし、なぜ観られないかも、一般人は知る由もないわ!という、
そんなお答えをいただいたのです。
調べても小さすぎて詳細が出てこない、けれど消えない、
もやもやとした25年来のわたしの疑問を、瞬時に解決してくれた、
ものすごい出会いに打ちのめされました。
この人…何者?この画家の、研究者??

また、話のついでに、さっき追いかけた鳥の話をすると、
「あ、こいつですかね?2〜3日前に来てから、ずっといるんですけど…」
…と、見せてくれたスマホの画面には、さっきの鳥が!(笑)
カワセミですよね、ときくと、そうです、カワセミは、"翡翠"、
オスは翡でサファイア、メスは翠でエメラルド、
それぞれの色をしているからそう書きます、と即答。
またついでに(笑)、入口の木は椿ですかね?山茶花?ときくと、
「あ、正面のですか?あれは椿です!山茶花は今年早く終わってしまって…」と。
この人…何者?この庭の、庭師??

結局、誰なのか分からないまま(笑)お別れをして、
出口へと続く別館へと移動しました。
「EXIT ONLY」を出てからも、気になって気になって、
「ちょっと、受付に戻ってあの人が誰かきいてくるわ!」と走って戻ったのに、
なんと!目の前で、格子戸がばたんと閉じられたのでした。(Closed)
いったい、あの人は…。

すべてが謎めいていましたが、そのナゾの人によって、
わたしの四半世紀にわたるナゾが見事に解けたので、めでたしめでたし。。

この不思議な出会いに興奮しながら、帰路の大きな駅のなか、
小さい坊ちゃんとエスカレーターを昇っていて、ふと気づいた。
「あれ…このエスカレーター。ずっと上がったら、もしかして、駅ピアノあるんちゃう?」
駅の大がかりなライトアップから、つながって出てきた記憶。
お正月に見た番組を頭の中でたどり、7階というしっぽをつかむ。
4階から上に上がれない?構造に見えたのが、
階段を見つけ上っていたら、ピアノの音が聞こえてきた!


うおお〜。
時折テレビで見る、あの駅この駅あのピアノ。
ついに見た、初めて見た、ホンモノです!
たまたまお正月に観た回の駅だったので、感激。
制服姿の男の子二人が交代で、ばりばり弾いていました。
一見分かりにくい場所なので、下の階の人の多さに比べて、
驚くほど周囲の人影が少ない。(ほとんど人がいない、といってもいいくらい)
次に待っていた人(↑)といったん交代して、こちらにやってきた彼らをつかまえ、
「お友達同士?」「いつもここに来てるの?」
「いつからピアノやってるの?」など、つい、質問攻めにしてしまいました。
けれど彼らは落ち着いて、ていねいに、そして楽しそうに答えてくれました。
わたしも坊ちゃんも、下手だけど時々弾くこと、
お互いに好きな曲のことなどをしばらく話したあと、
二人はまた空いたピアノに戻って、演奏を始めたのでした。
「リアル駅ピアノやったな〜」
小さい坊ちゃんがうれしそうにそう言って、わたしたちはその場をあとにし、
高まった気持ちのまま、お土産を買って、切符を買って、
さあ電車に乗ろう!とホームを歩いていたら…
「ああっ?!」
近くまで来て手を振ってくれて、走っていった制服姿の男の子。
さっきの男の子のうちの、ひとりでした。
電車を降りてから分かったのだけれど、なんと同じ地方のお住まいだったのです。
こんなことがあるんだなあと驚いて、胸がいっぱいになり、
乗り換えていく彼に、ピアノも勉強もがんばってね、とお別れして、
駅の外に出ました。
興奮冷めやらぬままに立ち尽くし、ぼーっとしたまま、
オットーと待ち合わせの電話をしている小さい坊を見ていたら、
坊の隣を何気なく通りすぎた、同じ年くらいの背の高い男の子…。
・・・・・!!
それは、棋士の藤井聡太くんでした
目の前を、ごく普通に、すーっと通りすぎていきました。
スーツ姿の横顔に、見覚えがありすぎて。。(笑)
こ…こんなことが、あるんだなー。。
♪出逢いはーいつでーも 偶然の風の中♪
偶然が偶然を呼んだ?、奇跡の一日でした。



コレクション  3/8

相変わらず、ウルトラコレクションがやってくる我が家。


坊ちゃんたちが情報を逐一チェックをしていて、どのメーカーから、
いつ、どんなパッケージのパンが発売されるか、事前に把握。(笑)
そして発売日を過ぎれば、スーパーをはしごして探しまわるのでした。
なかなか見つからなかったいちごバージョンも、やっと見つけてご満悦。
お約束の記念撮影をして…さあ!お味見!(中身はいつもと同じ。。)



不思議な出会い  3/4

昨夜、演奏動画の探しものをしていて、
いちばん上に上がってきた画面に、言葉を失った。
それは、その時探していたものと全く違う動画で、
しかし、数年来、わたしが再放送を待ち望んでいた、25年前の番組だった。

その番組との出会いは、一冊の道徳の教科書だった。
オットーの友人の仕事がそれに載ったというので、
わざわざ取り寄せて、手に入れた。

その教科書は長らくうちにあったのだけれど、
そのうち、友人本人に送ったのではなかったかと思う。
最後にあったチェロ奏者のお話と挿絵の美しさに心をひかれ、
そこだけコピーを取って、チェロ教室の主宰者の方に差し上げたのだった。

その物語は、あるテレビ番組を文章に起こしたもので、
もとになった番組については、検索ですぐに情報を得ることができた。
(主宰者の方はもちろん、何度かごらんになっていた)
ただ番組が古いため、再放送はなかなか叶わず、
わたしにとって時折ふと思い出す、幻の番組となっていた。

それがこんな動画サイトで出会うなんて。
(1年ほど前にここに出現していたらしいが、全く気づかなかった)
念願の番組をついに観ることが叶った、不思議な巡りあわせ。
探しもののきっかけがその主宰者さんのひとことだったことも、また。
そしてその巡りあいの無言の問いかけについて、考えている。



ひなまつり  3/3

今年もまた、巡りくる季節。
我が家の小さなおひなさまを、ケースから取り出す日。


おひなさまは、NHKの手づくり番組を見ていて、ひとめぼれしたもの。
材料を取り寄せて、テキストを見ながら作りました。
思えば、もう22年も前のことです。
台座は、いつだったかの日記にも書いたけれど、小さい坊作です。
(今さかのぼってきた。どうやら11年前に作ってくれたらしい。8才の匠。)
場所を動かそうと、台座ごと引き回すオットーに、
「もう重要文化財級やから、ぞんざいに扱わんといて!」と注意。
白い手袋、はめないと。(笑)


子どもの頃に好きだった、チョコあられ入りのひなあられ。
地方メーカーのもので、買える地域が限られているのですが、
今年はなんとか、手に入れることができました。