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道(はないちもんめ)  11/30

数年前に、コンサート会場で気まぐれに買ったベスト盤。
『Home Sweet Songs〜案山子〜』(さだまさし)
"ふるさと"を歌った歌ばかり集められている。
そのせいかとても優しい歌ばかりで、弦の旋律までが優しく、心に染みて…
この頃また、繰り返して聴いている。
子どもたちと一緒に。

このサイト、夏のサイバー攻撃?以来、検索ロボットもはじいているので、
こっそり歌詩とともに、歌の思い出を綴ってみる。。


道(はないちもんめ)

父の手に背伸びして歩いた道
叱られて泣きながら走った あの道
留守番に耐えかねて母を待った道
土産持つ祖母の胸に跳び込んだ あの道
今更に懐かしい あの頃を
今 遠い町でひとり想う
まだ天使だった私を
道は 憶えているかしら
ふるさと 離れて はないちもんめ
ふるさと 恋しい はないちもんめ


放課後に初恋を眼で追った道
草野球 夕焼け ともだち あの道
卒業の熱い胸冷ました道
胸張って町へ出る時 ふり返った あの道
今更に遠い空にひとり誓う
辛くとも 心だけは捨てない
もっと 大きくなった私を
道よ 待っていておくれ
ふるさと 離れて はないちもんめ
ふるさと 恋しい はないちもんめ
ふるさと 離れて はないちもんめ
ふるさと 恋しい はないちもんめ


12インチシングルだった「風に立つライオン」のカップリング曲。
この歌が流れると、発売当時の、高3の秋にワープする。
推薦入試を受けた時、そこに近かった祖母の家に泊まったこと。
外国語の学科を受けたその試験はだめで、
担任の英語の先生に、「お前は、国語!国語でいけ!」と(笑)強く言われ、
結局、国文科に進んだこと。

また、そこで出会った先生のおかげで進路が決まり、
さらに、次に出会った先生にも、未だにお世話になっていること…。

祖母との時間、思い出から、導きをくださった先生方のリレー、を思い、
自分の来し方、道、を振り返り、
当時は意図も意識もなかった無我夢中の道すじの、不思議を思う。
たった4分ほどの歌に、せつなく胸をうずかせる。

 "今更に遠い空にひとり誓う
  辛くとも 心だけは捨てない
  もっと大きくなった私を
  道よ 待っていておくれ"

ふるさと 離れて はないちもんめ、
ふるさと 恋しい はないちもんめ。



「言葉の力」  11/22

ずっと義母に見せたかった、染織家・志村ふくみさんの回の
「プロフェッショナル…」をDVDに落としながら、
志村さんとの出会いを懐かしく思い出す。
それは、中学2年の春、国語の教科書。
最初に出てきた、大岡信さんの随筆だった。
「言葉の力」

この、余りにも有名な随筆は、今あらためて読んでも、
胸がうずくくらい、「ことば」への愛にあふれている。
そして、なんと分かりやすく、美しいたとえで、
ことばというものについて表現しているのだろう。
志村さんの染める、上気したようなえもいわれぬ色、
それは全身で桜色になろうとする樹木の活動が生み出すもの。
それと同じように、ことばのひとつひとつは、それを発している人間全体の反映なのだと、
そういう態度をもって言葉の中で生きていこうとすることの意味。

2006/4/22の日記でも、この随筆に触れていた。
折にふれて思い出すこの名文と、
今回は、志村ふくみさんの仕事から、再び出会うことができた幸せ。